『スクールリーダー冊子総合版』
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 夜間大学院のスクールリーダー教育
『ひらく 教師の学習コミュニティ
 ―学習するスクールリーダー』SLC、2017
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   『スクールリーダー総合版』の編集に当たって

 この『スクールリーダー総合版』(SLC+)は、夜間大学院のスクールリーダー教育実践について継続的に刊行してきた冊子10種を基に抜粋編集したものです。教育実践の展開が読み取れるように時系列に配列しました。実践の舞台は大阪教育大学教育学研究科実践学校教育専攻スクールリーダー・コース(夜間大学院SLC)で、2002~2014年度の13年間です。

 夜間大学院は現職教員が「働きながら学ぶ」学習スタイルを基本として、教育実践の理論的基盤を確かめながら実践指針を探究して、実践的研究力と実践的指導力の両者を高めて修士論文に集約することをめざしています。いわば「2兎」を追うハイブリッド型夜間大学院です。ここに校長・教頭、首席(主幹教諭)、指導主事などスクールリーダーが毎年2~5名入学し研鑽する小さな「学習コミュニティ」が創られます。この取組みが2007年の三コース制再編においてスクールリーダー・コース(SLC)の創設に繋がります。このSLCは2015年に連合教職実践研究科学校マネジメントコース(教職大学院SMC)へと再編改組されて現在に至っています。

 夜間大学院の特徴を要約すると、①既存の教育学研究科において実践的・臨床的教師教育を創り出すこと、②カリキュラム編成は広領域多選択型を基本に三コース制を組み込んだこと、③コース編成は「理論・事例研究・プロジェクト研究・インターンシップ」の4領域編成として方法論を重視したこと、④「理論の意識化」と「実践の対象化」というベクトルを交錯させること、⑤「実践研究」として修士論文を作成すること、⑥校長・教頭などが実践的研究力と実践的指導力の両者を高めることである。
 スクールリーダーが互いに研鑽し現実を切り拓くこと、そのためにはスクールリーダーが出会い、つながり、協同するための「学習コミュニティ」を創り、「教育実践者と教育研究者が協同して教育現象と教育課題を考え立ち向かう営為」を重ねることを目標に教育実践に取り組んできました。

 このスクールリーダー教育実践の成果は各年度に編集刊行してきました。代表的な実践研究報告書は『実践教育学論集』『大阪の学校づくり』『学校教育論集』ですが、『スクールリーダー研究』の刊行、雑誌連載などに取り組んできました。そして、これらを集約する形で、冊子「夜間大学院のスクールリーダー教育」(以下「スクールリーダー」と略)などを継続的に編集してきました。本書『スクールリーダー総合版』は関係する冊子10種を基礎に抜粋編集(総頁202頁中112頁収録)しました。
 大阪におけるスクールリーダー教育の構築は、小粒ながら全国発信できる総合力を磨くことをめざして取り組んできました。教育改革の激動期において、大阪は教育政治にもまれましたが、私たちは「教師の学習コミュニティ」を創り出すことに地道に取り組んできました。この取り組みに触れて校長・教頭などが集い研鑽する場が創り出すことができたのは望外の喜びです。同行して創意工夫していただいた同僚の教授スタッフ、非常勤講師の先生方、関係教育委員会のみなさまに感謝します。また、夜間大学院の教務・総務を支え支援してくださった事務職員のみなさまにお礼申し上げます。

 スクールリーダーが日常の職務の上に夜間大学院の学習をこなしていくには、知力・気力・体力が人一倍要求されますし、適切な内容・水準で仕事と学習を両立させる能力が要求されます。改めて「働きながら学ぶ」スクールリーダーの「志とタフネス」に敬意を表し、夜間大学院の研究と学習が大きな果実を結ぶことを祈ります。

 さて、冊子「スクールリーダー」の編集・印刷製本は(株)KSI(ケーエスアイ)の社員のみなさまにお世話になりました。特に林規勝営業課長、藤原香織様には、毎回斬新なレイアウト編集と手堅い校訂をしていただきました。この冊子が大阪をはじめ全国に発信するための推進力を与えてくれました。また『実践教育学論集』『大阪の学校づくり』『学校教育論集』の印刷製本はカツヤマ印刷の社員のみなさま、特に惣塚勝一社長、光田吉雄様にご尽力いただきました。『スクールリーダー研究』の刊行では国際印刷出版研究所の社員のみなさま、特に喜田りえ子氏にお世話になりました。

 「天の時、地の利、人の和」が噛み合うことが大きな事をなすといいますが、多くの方々と連携協力して、夜間大学院のスクールリーダー教育を大阪の地で展開できました。厚くお礼申し上げます。

平成29(2017)年2月1日
 スクールリーダー・プロジェクト委員長
 大阪教育大学教授  大脇 康弘

Profile OWAKI, Yasuhiro 教育経営学・教師教育学専攻。学校マネジメントおよびスクールリーダー教育を理論・政策・実践から総合的に研究する。大学・教育委員会連携の「スクールリーダー・フォーラム事業」で日本教育経営学会「実践研究賞」受賞、同「功労賞」受賞。日本教育経営学会理事、日本教育制度学会理事、日本高校教育学会理事。編著著に『学校を変える 授業を創る』『学校評価を共に創る』(学事出版)『学校をエンパワーメントする評価』(ぎょうせい)。
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       『SLC総合版』 目次
*凡例 SLC06:夜間大学院のクールリーダー教育2006
         SLP08: スクールリーダー・プロジェクト2008
         OKU07: 大学・附属学校交流会第7回

SLF16: 第16回スクールリーダー・フォーラム
SLC06  教師のための学習コミュニティ―夜間大学院で学ぶ 2007                                   001
SLC07  教師の学習コミュニティ―進化する夜間大学院 2008                               023
SLP08   スクールリーダー・プロジェクトの展開―大学と教育委員会のパートナーシップ2009  037
SLC09  教師の学習コミュニティを創る―夜間大学院のスクールリーダー教育 2010.           053
SLP11  ケースメソッド入門―スクールリーダーの協同学習 2012                                    059
SLC11  ひらく 教師の学習コミュニティ―夜間大学院のスクールリーダー教育 2012           065
SLC13  つなぐ 教師の学習コミュニティ―夜間大学院のスクールリーダー教育 2014           079
OKU07  スクールリーダーによる「実践研究」―理論知・実践知の内的対話 2015              107
SLF16   むすぶ 教師の学習コミュニティ―大学・学校・教育委員会のコラボレーション 2016 109
『スクールリーダー総合版』の編集に当たって                     113

 夜間大学院のスクールリーダー教育(SLC総合版)
 ひらく 教師の学習コミュニティ―学習するスクールリーダー―
編著 大脇 康弘(スクールリーダー・プロジェクト委員長)
発行 スクールリーダー・プロジェクト事務局(SLP)
〒543-0054 大阪市天王寺区南河堀町4-88 大阪教育大学 連合教職大学院
発行日 平成29(2017)年2月1日
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